背中の痛みで息苦しいときの原因。中央や左側の症状は病気のサイン?

背中の痛みでいつも息苦しい。
中央や左側の部分に痛みの症状があるとき、原因はどこにあるのでしょうか?
それには心臓や肺、胃腸などの病気が関連している可能性もあります。
今回は、背中の痛みで息苦しいときの原因について考えてみましょう。
背中の痛みで息苦しいときの原因は?
背中が痛いときの原因について考えてみましょう。
まずは痛みの種類についてです。
人間の痛みの感じ方は大きく分けて2つ。
「鋭痛(えいつう)」は、体の比較的表面に感じるはっきりとした痛みですね。
もう一つは「鈍痛(どんつう)」で、体の深くに感じるはっきりしない痛みのことです。
鋭痛は、ケガや火傷をしたときに感じる急性の痛みで、原因もはっきりしていますね。
しかし鈍痛の方は、内臓の痛みであったり、筋肉や関節に起こる痛みであることが多いようです。
いつまでも続く慢性的なもので、心理的要因も大きく関係すると言われていますよ。
背中が何となく痛くて、息苦しいと感じる場合、この「鈍痛」である可能性がありますね。
背中の中央や左側の症状は病気のサイン
背中の真ん中、もしくは左側か右側にかたよっている痛みの場合の可能性を考えてみましょう。
単に運動した後や寝違えたときであれば、原因ははっきりしていますね。
筋肉や関節の痛みも自然によくなります。
でも問題なのはっきりした原因がないときです。
よく見られるのは、「咳が続いたとき」ですね。
この場合、急激で強い肺の動きがあるために、意外にも周囲の筋肉や関節に負担がかかっているんです。
少し専門的になりますが、具体的に見てみましょう。
- 胸椎椎間関節:脊柱(胸椎)をつないでいる関節
- 胸肋関節、肋横突関節:胸椎と肋骨をつないでいる関節
- 肋間筋:肋骨と肋骨の間にある筋肉
- 菱形筋:胸椎と肩甲骨をつないでいる筋肉
- 僧帽筋(上部・中部):背中を広く覆っている筋肉
- 脊柱起立筋:脊柱に両側にある筋肉
- 横隔膜:胸郭の下にある膜状の筋肉
- 腹筋群:お腹の周りにある筋肉
- 胸筋(大胸筋・小胸筋):胸にある筋肉
少し難しくなりましたが、咳が続くだけでこれだけの関節や筋肉が強く働いているんです。
横隔膜や腹筋群以外はすべて背中側にあるもので、先ほどお話しした「鈍痛(慢性痛)」を発しているのかもしれません。
また脊柱以外はすべて両側にあるものですね。
両側同時に痛みを感じることもありますが、左側か右側のどちらかに偏っていることが多いでしょう。
咳が出る病気で最近増えているのが「咳喘息」です。
風邪の咳などが慢性化して、咳だけが続くのが主な症状です。
アレルギー体質の人に多く、たばこや飲酒、ストレスなどあらゆる刺激に反応して空咳(痰などの分泌物が少ない咳)が出ます。
夜間になる特にひどくなることが多いようです。
1ヶ月以上続くことが多く、本格的な喘息に移行することもあるとされていますので注意が必要です。
あともう一つ、最近増えている病気に「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」があります。
この場合は痰や息切れを伴う咳が続くのが特徴です。
気管支の慢性的な炎症から肺胞の破壊を生じ、肺の過膨張が起こることから、息がうまく吐けなくなるのが主な病態です。
40歳以上の喫煙者に多いことが指摘されていますよ。
心当たりはありませんか?
咳と背中の痛みは結びつかないかもしれませんね。
咳が続くことは、体にとってはかなりのダメージを与えてしまうんです。
この場合、関係するみぞおちや肩、胸のあたりにも痛みやだるさを感じているかもしれません。
改善には、咳を止めることが必要ですよ。
まずは呼吸器科やアレルギー科を受診しましょう。
咳が止まれば、背中の痛みも軽くなっていきます。
しかし咳の症状は治まっていても背中の痛みは続いている場合もあるでしょう。
そんなときは筋肉や関節の状態を一度リセットする必要がありますよ。
では簡単なリセット法を紹介しましょう。
背中の筋肉や関節をリセットしよう
長く咳が続くなどして、普段の静かな呼吸(腹式呼吸)ができなくなっているのかもしれません。
いわゆる胸郭を主に使っている肺呼吸を行っていることで体に力が入っているのかもしれませんよ。
そんなときは全身の力を抜き、副交感神経を有意にさせるリラクゼーション法を試してみましょう。
全身のリラクゼーション法でリセットしよう
- 仰向けに寝る
- 目をギュッと閉じる(ゆっくり開ける)
- 歯をくいしばる(ゆっくり開ける)
- 肩をギュッとすくめる(ゆっくり下す)
- 親指と人差し指で輪を作って力を入れる(力を抜く)
- 左右の指を鈎(カギ)状に組んで両側に引っ張る(力を抜く)
- 手と手を合わせて(合掌する)押し付ける(力を抜く)
- 両足を立ててお尻を浮かせる(力を抜く)
- 立てた両足の膝と膝を合わせて股を閉じる(力を抜く)
この手順を2回繰り返します。
筋肉は、最大収縮の後に必ず弛緩状態になります。
この性質を利用するんですね。
次に呼吸のリズムを整えましょう。
腹式呼吸でリセットしよう
- 仰向けで寝て、膝を立てる
- へそが天井に向かうようにお腹を膨らませる
- ゆっくり吸ってゆっくり吐く
- 吸う時間を長くしていく
- 吐く時間を吸う時間の1.5倍ほどまで伸ばしていく
同じ動作を繰り返していきます。
片方の手でお腹が膨らんでいるのを確認するとよいですね。
慣れてきたらへその上に重りをのせるのもいいでしょう。
横隔膜の収縮を意識する目的なので軽いもの(スマホでも)でも結構です。
これらの方法で、全身がリラクゼーションでき、呼吸のリズムが整えられたら背中の痛みも軽くなっていくはずです。
物足りない場合は、先に背中や胸部、腹部のストレッチを行ってからでもいいですよ。
次に他の臓器からくる痛みについて考えてみましょう。
関連痛は原因から離れたところに感じる痛み
原因から離れたところに感じる痛みのことを「関連痛」と呼んでいますね。
背中に感じるものを、少し範囲を広げてまとめてみましょう。
- 背中の左中部(やや上):心臓
- 背中の左中部(やや下):胃
- 背中の右下部(右肩甲骨の下):肝臓
- 背中の両上部(首の付け根から両肩):肺、横隔膜
痛みの場所がはっきり特定できないような鈍痛を感じます。
痛みの範囲が徐々に広がってくるのが特徴ですね。
また胃や肝臓の場合は、それぞれ真ん中や右側に鈍痛を感じるようです。
心臓の場合は左の胸から腕にかけての痛みがあるようなので区別できるかもしれません。
しかしこれらの場合、自己判断が難しく危険です。
早めに専門医を受診することをおすすめします。
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