呼吸が浅いのは病気?息苦しい原因と改善方法を詳しく解説。

呼吸が浅いのは病気の症状?
何となく息苦しい感じがするとき、体では何が起きているのでしょうか。
呼吸には、肺や心臓はもちろんのこと、体幹の関節や筋肉、そして自律神経の働きが関わっています。
このためその不調には様々な原因が考えられますね。
今回は、息苦しい原因とその改善方法を詳しく解説しましょう。
呼吸が浅いのは病気の症状?
まずは、呼吸のメカニズムを簡単にお話ししましょう。
- 横隔膜(肋骨の下の膜状の筋肉)が働く
- 肺が引き下げられる
- 頚部の筋肉(斜角筋)が働く
- 肋骨の間の筋(外肋間筋)が働く
- 肺が引き上げられる
- 肺の容量が大きくなり陰圧(気圧が低い状態)になる
- 肺に空気が流入する
【息を吐く(安静呼気)】
- 吸い込むときに働いた筋肉(横隔膜など)がゆるむ
- 肺自体の弾力でもとの大きさに戻る
- 肺の空気が自然に出ていく
普段、静かに呼吸しているときには、これらの働きがリズミカルに起こっています。
そして吸気(息を吸う)で酸素が取り込まれ、呼気(息を吐く)で二酸化炭素が排出されるんです。
これら酸素を取り込んだ血液が心臓から送り出され、また戻ってきて二酸化炭素を排出し、また酸素を取り込んでいくという繰り返しですね。
実際にこのメカニズムが十分に行われず、息切れが起こって動けなくなるような状態なら心臓や肺の病気が疑われるでしょう。
しかし何となく呼吸が浅い、息苦しい感じがする。
このようなとき、体の中では何が起こっているのでしょうか?
息苦しい原因は自律神経のアンバランスにあった
呼吸を浅くしたり深くしたり、また速くしたりゆっくりしたり調節しているのは「自律神経(交感神経と副交感神経)」なんです。
安静時(リラックスしているとき)は副交感神経が働き、「深くてゆっくりした呼吸」になりますね。
一方、運動しているときや精神的な緊張があるときは交感神経が働き、「浅くて速い呼吸」になりやすいんです。
運動した後の呼吸の乱れは一時的なもので、すぐに戻りますよね。
でも慢性的なストレスによって緊張が続く場合には、「浅くて速い呼吸」の傾向がずっと続くことになるんです。
常に浅くて速い呼吸が続くと安静時の呼吸とは違って、他の筋肉まで余計に働くことになります。
このため、頚や胸、腹、背中の筋肉が過活動(働き過ぎ)の状態になり硬くなってしまうんです。
すると胸郭や脊柱の関節の動きまで悪くなってしまいます。
そしてまた余計に呼吸が浅くなるという悪循環に陥るんです。
ではこの自律神経のアンバランスが原因の1つとされる病気を見てみましょう。
- 不整脈
- 心臓神経症
- 過呼吸症候群
- 更年期障害(ホルモンのバランスが影響)
実際に臓器の問題は見当たらないのに身体の症状だけがみられる場合、自律神経の乱れが原因かもしれません。
では、その改善方法はあるのでしょうか?
呼吸が浅い症状の改善方法とは
精神の緊張が体の緊張を招き、体の緊張がまた精神の緊張を増加させるという悪循環が起こります。
この悪循環をどこかで断ち切らなくてはなりませんね。
先ずは浅くて早い呼吸によって硬くなりやすい部分をまとめてみましょう。
安静時の呼吸で働く筋肉に以外に、他の筋肉も加わって過活動(働きすぎ)になってきますよ。
- 頚部の筋肉:斜角筋、胸鎖乳突筋(胸郭を引き上げて広げる)
- 胸部の筋肉:外肋間筋、大胸筋、小胸筋(胸郭を広げる)
- 背部の筋肉:広背筋、脊柱起立筋(胸椎の伸展運動)
【呼気で過活動になりやすい筋肉】
- 胸郭の筋肉:内肋間筋(肺を引き下げる)
- 腹部の筋肉:腹直筋、腹斜筋、腹横筋(横隔膜を押し上げる)
安静時の呼吸とは違った、たくさんの筋肉や関節が関係していますね。
では次に全身をリラックスさせ、硬くなった筋肉や関節をほぐす方法を紹介しましょう。
最初は腹部の筋肉をほぐそう
腕を立てて腰を下ろします。
できるだけ状態を後ろに反らします。
骨盤を浮かせないのがコツですよ。
腹筋がしっかり伸ばされているのを意識しましょう。
10~20秒数えて、数回繰り返すぐらいで結構です。
頚部の筋肉をほぐすにはタオルを使う
少し頭を後ろに倒して、頚(くび)の後ろにタオルを引っかけます。
次に斜め上に引っ張って、止まったところでそのままの状態を保ちます。
頚の周りが自然にほぐれてくるのを待ちます。
強く引っ張り続けず、力加減を変えないのがコツですよ。
1分程度で結構です。
胸郭の筋肉と肋骨の関節のストレッチ
腕を後ろで組みます。
胸を張った状態で腕を後ろに引きます。
胸が伸ばされているのを感じたら自然に呼吸をしますよ。
肩の力を抜くのがコツですよ。
10~20秒数えて、数回繰り返すぐらいで結構です。
背部の筋肉と脊柱の関節のストレッチ
椅子に座って、足をできるだけ開きます。
肘を立て、反対側の太ももの外側に付けるように上体をねじっていきます。
脊柱の動きを感じながら、背中の筋肉も伸ばされているのを意識しましょう。
足を広げる幅は徐々に広くしていきます。
椅子に骨盤を固定しておくのがコツですよ。
いかがでしたか?
呼吸が浅い、息が苦しいという症状については、実際に心臓や呼吸器に疾患がある場合もあります。
症状の軽快が見られない場合、循環器内科や呼吸器科を受診してみることをおすすめします。
ストレスや自律神経の異常については、心療内科が専門となりますが、医師との相談の上、治療方針を決定していきましょう。