右臀部の痛みの原因と対処法をくわしく解説。3種類のストレッチで解消しよう!

右臀部の痛みがひどい。
イスにも座れないほどで毎日つらい。
こんな症状を抱えている方も多いことでしょう。
その原因は坐骨神経の圧迫にあったのです。
今回は、臀部の痛みの原因とその症状の緩和に有効なストレッチ方法を紹介しましょう。
右臀部の痛みの原因は坐骨神経だった
まずは人体の神経の仕組みを簡単にお話ししましょう。
脳からつながる脊髄は脊柱(背骨)の中を通っていますね。
脊髄は脊柱を構成する椎体と椎体の間から枝分かれして手足の筋肉につながり末梢神経となります。
このうち腰椎と仙椎から出て1本にまとまり、臀部から足につながっているのが坐骨神経なんです。
実はこの坐骨神経が臀部の痛みに大きく関係しているんです。
原因となる疾患としては、梨状筋症候群が代表的ですよ。
梨状筋症候群のメカニズムとは
梨状筋は、股関節の安定に関係しているインナーマッスルで大腿骨と骨盤をつないでいる筋肉です。
この梨状筋の間を通っているのが坐骨神経なんです。
梨状筋にストレスがかかることで緊張して硬くなったり、炎症を起こしたりすることで坐骨神経が圧迫されることになります。
このため臀部に強い痛みを出すんですね。
では梨状筋にストレスがかかる要因をまとめてみましょう。
- 長距離のランニング
- サッカーやラグビーなど走ることが多いスポーツ
- 臀部の直接的な外傷
- 不良姿勢(極端な内股、骨盤のゆがみ)
- 股関節の不安定(変形性股関節症など)
- 椎間関節の障害(変形性腰椎症など)
- 腰痛による二次的な筋緊張
- 腎臓からの関連痛(腰から臀部への痛み)
このように様々な要因が影響していますよ。
不良姿勢については、坐骨神経の痛みが原因になって、後から不良姿勢を作っていくこともありますね。
また股関節の疾患や腰痛(関連痛含む)に関しては、元々の症状を改善させる必要があります。
この場合、整形外科を受診して、トータルに考えてみなければなりませんね。
どうして右と左に差ができる?
痛みの出る側は、主にストレスがかかっているのが左右のどちらであるかによって変わってきますよ。
右が痛い場合は、利き足と支持足が関係し、どちらかに動作が偏っている場合が多いですね。
梨状筋症候群の場合、左右両方に出る場合もありますが、痛みの程度に差がある場合がほとんどです。
人の痛みの感じ方はとても不思議なもので、左右同時に同じ程度の痛みはあまり感じないものなんですよ。
より強い痛みだけを主に感じて、反対はそれほど感じないようにできているんです。
また痛い方をかばっているうちに反対側の負担が大きくなり、痛みが右から左に移動することも珍しいことではありません。
梨状筋症候群に効果的なストレッチで解消しよう
では梨状筋症候群で効果的なストレッチ方法を紹介しましょう。
まずは梨状筋の性質から少し説明してみましょう。
そもそも梨状筋は、股関節を外側に捻じる作用を持つ筋肉です。
しかし変わった特徴があって、股関節を90°以上曲げた状態だと逆に股関節を内側に捻じる作用に代わるんです。
ストレッチもこの性質をうまく使っているんですよ。
それでは図解していきましょう。
説明文では、伸ばしたい方を患側、アシストする方を健側として表現しています。
画像ではすべてモデルの右を患側、左を健側としています。
座った姿勢で行うストレッチ
イスに座った姿勢から始めます。
- 患側の膝を曲げ外くるぶしを健側の太ももの上にのせる
- その体勢から前かがみになる
- 背中を伸ばしたまま胸をできるだけ膝に近づける
腕を立てて上半身を起こした姿勢で行うストレッチ
腕を立てて上半身を起こした姿勢から始めます。
- 患側の膝を立て、健側の足を上にして足を組む
- 健側(上側)の足で伸ばしたい方の膝を押さえて内側に倒していく
- 患側の骨盤が浮き上がらないように最後まで倒す
仰向けからまるまった状態で行う方法
仰向けに寝た状態から始めます。
- 健側の膝を立てた状態にする
- 患側の膝を曲げ、外くるぶしを健側の膝の上にのせる
- 患側の足をのせた状態で健側の膝を抱え込んでまるまった状態にする
- 健側の膝を胸の方にできるだけ引き付ける
腰椎椎間板ヘルニアでも臀部に痛みが出る
先ほどの脊髄と脊柱の話に少し戻りましょう。
脊柱は椎体と椎体がつながって構成されています。
そして脊柱をつなぎ、クッションの役割を果たしている椎間板ですね。
椎間板が力学的ストレスによってつぶれ、中の髄核というゼリー状のものが外に出てしまうことがあります。
この状態が椎間板ヘルニアです。
腰椎の部分でこれが起きると痛みが坐骨神経を伝わります。
臀部はもちろん、足にも痛みが走る(放散痛)ことになるんですね。
足の先まで放散する痛みやしびれ感、また脱力感のある場合はヘルニアが原因である可能性が考えられます。
この場合、腰椎の負担を減らすような徒手療法や場合によっては手術が適応となることもあります。
整形外科でMRIやCTによる診断が必要ですので早めの受診をおすすめいたします。
いかがでしたか?
臀部の痛みは日常生活の動作に大きな制限をもたらすもの。
この稿があなたの症状の1日も早い回復のお役にたてたら幸いです。