脳梗塞の効果的な治療方法を調査!高齢者に多い症状や後遺症とは。

「脳梗塞」は、近年増加傾向にある病気です。
日本人が死亡する3大疾病の一つでもあり、命に関わる非常に怖い病気になります。
脳の血管が詰まったり、何らかの原因で脳の血流が通常の1/5~1/10程度まで低下することにより、脳が酸素不足、栄養不足に陥り、そのような状態がある程度の時間続くと、その部位の脳組織が壊死(えし)してしまうのです。
高齢者になるほど、発症するリスクは高くなると言われていますが、最近では若い方でも発症するケースが見受けられ、年齢に関係なく注意が必要だと言われています。
そこで今日は脳梗塞についてお伝えしたいと思います。
万が一ご自身やご家族、近しい方の身に起こった時のことを考え、一緒に学んでいければと思います。
では早速見ていきましょう。
脳梗塞の前兆と症状とはどういったものがあるのでしょうか?
脳梗塞を発症する前段階として、以下のような前兆が見受けられることがあります。
・手足のしびれや震えといった症状が起こる
・歩く際、ふらつく
・顔や唇にしびれを感じる
・ろれつが回りにくくなった
・原因不明の頭痛や肩こりがある
・段差のないところでもつまづく
・物忘れがひどくなってきた
・食べ物が飲み込みにくくなった
・声がちゃんと出ない
大きな病気や症状が出る前に、身体は何らかのサインを送っています。
いくつかある場合だけでなく、一つでも症状がある場合や違和感がある場合は念のため、早めに病院で検査を受けましょう。
また脳梗塞は詰まる血管の太さや詰まり方によって、3つのタイプに分けられます。
アテローム血栓性脳梗塞
大動脈や頸動脈(けいどうみゃく)などの頭蓋外の動脈や比較的太い動脈に現れるタイプの脳梗塞になります。
動脈硬化により、細くなった血管が血栓により閉塞(へいそく)する場合や動脈硬化を背景に生じた血栓が血流にのって頭の中の血管を閉塞する場合があります。
ラクナ梗塞
脳に入った太い血管は次第に細い血管へと枝分かれしていきますが、この細かい血管が狭くなり、詰まるのがラクナ梗塞です。
穿通枝領域(せんつうしりょういき)と呼ばれる脳の中でも比較的中心部に発生する小さな脳梗塞です。
日本人に最も多いタイプだと言われていて、主に高血圧によって起こると言われています。
心源性脳塞栓症
心臓に血栓ができ、その血栓が脳に流れ、動脈を塞いだ為に起こる脳梗塞です。
脳の太い血管を詰まらせて起こります。
主な原因は不整脈だと言われています。
脳梗塞で最も多いと言われる症状が、左右のどちらかの手足がしびれる、またはうまく力が入らないという運動麻痺があります。
お箸や茶碗、歯ブラシなどを落としてしまったり、歩きにくくなったりといった症状が出ます。
またしびれが起きている手足と同じ側の顔に麻痺が起こっている場合はその可能性が高くなります。
人間の脳は右脳と左脳に分かれていて、脳からの指令を伝える神経は首のところで交差していて、右脳が左半身を、左脳が右半身の指令を出しています。
ですが、脳が脳梗塞などによりダメージを受けると、その指令がうまく出せず、結果運動麻痺が起こり、身体をうまく動かすことができなくなるのです。
効果的な治療方法と言われているのはどういったものがあるのでしょうか?
脳梗塞を発症した際は、発症後何時間経過したかということで治療法が変わってきます。
言い換えれば「時間の経過」がとても重要になってきます。
血栓溶解療法
こちらは発症してから3時間以内の場合に主に行われる治療法です。
血栓を溶かす働きがありますが、脳内出血や出血リスクが高いと判断される場合は使用できないと言われています。
抗凝固療法
別名アルガトロバンと言われる薬剤による治療法で、発症から48時間以内で、かつ脳梗塞の大きさが1.5㎝を超えるラクナ梗塞以外の非心原性脳梗塞に対して点滴で投与されます。
これにより血液の凝固を阻害する働きがあり、脳梗塞の悪化を防止します。
抗血小板療法(アスピリン、オザグレルナトリウム)
発症から48時間以内の心原性脳塞栓症を含む脳梗塞の場合にアスピリンの経口投与が行われます。
発症から5日以内の心原性脳塞栓症を除く脳梗塞の場合はオザグレルナトリウムの点滴投与が行われます。
アスピリン、オザグレルナトリウムといった抗血小板薬は血液中の血小板の凝集を阻害する作用があり、新たな血栓を出来にくくします。
脳保護薬
エダラボンと言われる脳保護薬が併用されることがあります。
フリーラジカルという脳にダメージを与える物質を消去する作用があり、結果ダメージから脳を保護する働きが期待されます。
ただしこの薬は海外ではあまり使用されてはいないようです。
発症後の後遺症とは?増加傾向にある高齢者のリハビリ
脳梗塞が起こり、一度死滅した細胞は元には戻らない為、脳梗塞を発症すると後遺症が残るケースがあり、その場合はリハビリが必要になってきます。
脳梗塞に対するリハビリはその患者さんの機能障害に合わせて行われますが、こちらも治療と同様早期に開始されることが機能回復に繋がると言われています。
理学療養士や作業療養士の方と共に、その方に合ったリハビリを行っていきます。
リハビリの期間はその方の障害の状態によって異なりますが、麻痺が軽度の方の場合はリハビリテーション病院に入院することなく退院するケースもあるようです。
後遺症は大きく分けて3つあります。
神経障害
脳梗塞によってダメージを受けると、その場所によって神経障害が発生します。
結果手足をうまく動かせないといった麻痺が残ります。
他にも痛みを感じにくくなったり、しびれなどの感覚障害、物が見えにくくなるといった視覚障害などもあります。
高次脳機能障害
脳がダメージを受けると記憶、集中力、言語などに障害が起こることがあり、新しいことが覚えられない、過去を思い出せない、聞いても理解できないなどの症状が起きます。
それにより日常生活に色々な支障をきたしてしまいます。
感覚障害
感情のコントロールがうまく取れなくなり、些細なことで激怒したり、大笑いをしたり、わがままになったり、また鬱になったりといった感情障害が起こることがあります。
その場合、周囲の人からは性格が変わってしまったのではないかと感じられることも多く、対応の仕方に戸惑いを感じられる方も少なくありません。
リハビリが長期化する場合は、途中で萎えてしまう方も少なくなく、ご自身だけでなく、ご家族などの周囲の方のサポートもとても重要になってきます。
また高齢者の方の場合、集中力、回復力、体力などの面において、若い方よりも時間がかかる場合がありますので、より一層のサポートが必要だと言えるでしょう。
いかがでしたでしょうか?
また例え発症したとしても、早い段階で病院での適切な治療を受け、リハビリをすることで改善されます。
ご自身だけでなく、ご家族、周囲の方の健康もお互い助け合って、守っていきましょう。