膝の痛みで曲げると痛いとき。外側や内側の場合はこの運動とテーピングで解決!

膝の痛みで曲げると痛い。
意外なことに膝のお皿に原因がありました。
膝のお皿は正式には「膝蓋骨(しつがいこつ)」といいます。
膝蓋骨は膝を伸ばすときは上にあがり、曲げるときは下にさがるんです。
この動きがうまくいかないことでも痛みは出ます。
痛みは膝の外側や内側に出ることが多く、膝のお皿の位置や動きを整えることで解決されることがあるんです。
今回は、この改善のために必要な運動とテーピングの方法を紹介しましょう!
膝の痛みで曲げると痛い原因は膝蓋骨だった?
膝蓋骨というとピンとこないかもしれませんね。
膝蓋骨とは膝のお皿のこと。
実はとても重要な働きをしているんです。
- 膝の関節の保護
- 大腿四頭筋(膝を伸ばす筋肉)の効率を良くする
- 膝関節の動きをスムーズにする(滑車の役割)
膝を曲げ伸ばしするとき、膝蓋骨にはとても大きな圧力がかかっています。
歩行でも、体重の1.3倍、階段では3.3倍、スクワットでは7.8倍と言われるほどなんです。
だから膝蓋骨の位置がずれていたり、うまく動いて(滑って)いかなかったとしたら大変ですね。
大きな圧力が誤った方向から膝関節にかかり、かなりの負担になってしまいます。
だから膝蓋骨の位置や動きが正しくないと膝に痛みが出てしまうんです。
少し専門的になりますが、もう少しお話ししましょう。
この膝蓋骨に関係する、もしくは支えているものについてです。
まとめてみましょう。
- 大腿直筋(大腿四頭筋の1つ):骨盤から始まり膝蓋骨とつながり、膝蓋靭帯を介して脛骨(下腿骨)に付着する
- 膝蓋腱(膝蓋靭帯とも):大腿直筋の末端で膝蓋骨と脛骨(下腿骨)をつなぐ腱(膝蓋腱反射で有名)
- 外側膝蓋大腿靭帯:外側で膝蓋骨と大腿骨をつなぐ靭帯
- 内側膝蓋大腿靭帯:内側で膝蓋骨と大腿骨をつなぐ靭帯
これらが主に膝蓋骨の動きに関係しているんです。
最後に膝蓋骨の動き方ですが、これは簡単です。
膝を伸ばすとき、膝蓋骨は上にあがります。
そして膝を曲げるとき、膝蓋骨は下にさがるんです。
つまり膝を曲げるとき、この膝蓋骨がまっすぐ下に下がらなかったり、外側か内側にかたよって下がるときに痛みが出るんです。
では膝蓋骨が正しい位置にあるか、また正しく動いているかチェックしてみましょう。
- 目で見てまっすぐ上を向いているか?
- 外側にかたよっていないか?(かたよっていたら外側膝蓋大腿靭帯が緊張している)
- 内側にかたよっていないか?(かたよっていたら内側膝蓋大腿靭帯が緊張している)
- 膝蓋骨の外側を押すと痛くないか?(痛かったら外側膝蓋大腿靭帯が緊張している)
- 膝蓋骨の内側を押すと痛くないか?(痛かったら内側膝蓋大腿靭帯が緊張している)
- 膝を伸ばすとき上にあがってくるか?(あがってこなかったら膝蓋骨のすべりが悪くなっている)
- 膝を曲げるとき下に下がるか?(さがらなかったら膝蓋骨の動きが悪くなっている)
- ※曲げたとき上から見て膝蓋骨が見えなくなったら正しい動き
いかがでしたか?
どこかに問題がありませんでしたか?
もし問題があったら、以下の方法を試してみましょう。
では早速、膝蓋骨の位置と動きを整えていきましょう!
膝の外側や内側の痛みにはこの運動とテーピングが効果的
では6つの場合について対処法を紹介していきますよ。
- 膝蓋骨が外側にかたよっている場合:膝蓋骨のテーピング(真ん中に戻す)
- 膝蓋骨が内側にかたよっている場合:膝蓋骨のテーピング(真ん中に戻す)
- 膝蓋骨の外側を押すと痛い場合:外側膝蓋大腿靭帯のフリクション・マッサージ
- 膝蓋骨が内側を押すと痛い場合:内側膝蓋大腿靭帯のフリクション・マッサージ
- 膝を伸ばしたときに膝蓋骨が上がらない場合:膝蓋骨のモビライゼーション
- 膝を曲げたときに膝蓋骨が下がらない場合:大腿直筋のファンクショナル・マッサージ
膝蓋骨が外側にかたよっている場合
膝蓋骨のテーピング(真ん中に戻す)を行いましょう。
下の「膝蓋骨の外側を押すと痛い場合のフリクション・マッサージ」を行ってからするとより効果的ですよ。
テーピングには「キネシオテープ(幅50mm)」を使います。
動きを妨げず、膝蓋骨を自然に元の位置を戻してくれますよ。
20%ほど引っ張って伸ばしながら貼るのがコツです。
実際にあてがってみて、1/4ほど短めに切るのがよいでしょう。
cmほど切り込みを入れて、膝蓋骨を挟むよう上下の形に沿って貼ります。
そして内側に引っ張っぱりながら貼り、膝の裏を回って1周します。
膝蓋骨が内側にかたよっている場合
膝蓋骨のテーピング(真ん中に戻す)を行いましょう。
やり方は外側にかたよっている場合と基本的には同じ。
逆に外側に引っ張っぱりながら貼り、膝の裏を回って1周します。
また同じく「膝蓋骨の内側を押すと痛い場合のフリクション・マッサージ」を行ってからするとより効果的ですよ。
膝蓋骨の外側を押すと痛い場合
外側膝蓋大腿靭帯のフリクション・マッサージを行いましょう。
方法は簡単。
人差し指の上に中指を重ねてから、人差し指で膝蓋骨の外側を軽くマッサージしていきます。
靭帯の線維を横切るようにマッサージするので、フリクション・マッサージと呼ばれていますよ。
この方法はリズムが肝心。
痛い部分を中心に前後2cm(4cmのストローク)を、1秒間に2往復するぐらいのスピードで行うとよいでしょう。
また気持ちよいぐらいの圧力で、軽くマッサージするのがコツですよ。
膝蓋骨の内側を押すと痛い場合
内側膝蓋大腿靭帯のフリクション・マッサージを行いましょう。
方法は外側の場合と同じです。
膝蓋骨の内側に対して行います。
膝を伸ばしたときに膝蓋骨が上がらない場合
膝蓋骨のモビライゼーションを行いましょう。
膝蓋骨の動きをよくする運動です。
膝蓋骨を親指と中指で固定し、上下に動かしていきます。
上げて止まったところ、また下げて止まったところで、それぞれ力をかけたまま10秒間待ちます。
そしていったん少し力をゆるめて、また同じように力をかけて10秒間待ちます。
その繰り返しで、膝蓋骨の上の筋肉(大腿直筋)がゆるみ、スムーズに動くようになるまで続けましょう。
あまり力強く引っ張らないのがコツですよ。
膝を曲げたときに膝蓋骨が下がらない場合
大腿直筋のファンクショナル・マッサージを行いましょう。
関節を動かしながら行うのでファンクショナル・マッサージと呼ばれますよ。
大腿直筋の下部にある、滑液包(膝の潤滑液をためておく袋)が周囲の組織に引っ付いている(癒着)場合があります。
この引っ掛かりをとる運動です。
手の小指側(小指球)で膝の上を押さえながら膝の屈伸運動を行います。
膝蓋骨のすぐ上から始め、2cmずつ上に位置をずらしながら、10cm上まで行いましょう。
5セット行うごとに、膝蓋骨の動きをチェックしてみましょう。
仕上げの運動で膝関節を整えよう
膝関節は「らせん関節」と呼ばれる形をしています。
つまり単なる蝶番(ちょうつがい)ではなく捻じれを伴いながら曲がるところに特徴がありますよ。
だから曲げるときは踵(かかと)がお尻に付くように曲げるのは膝にとってはあまりよくないんです。
踵をお尻の外に逃がすように曲げるのが実は正解なんですね。
踵をお尻の外側(股関節の外側)目指して曲げてみましょう。
普段よりよく曲がるはずですよ。
この運動で膝関節を整えましょう。
いかがでしたか?
膝の外側や内側の痛みには、膝蓋骨の位置や動きが関係していることがあります。
まずはここに着目してみましょう。
それではあなたの膝の症状が改善されることを願ってこの稿を終わります。