診療報酬改定2016。湿布薬が70枚に制限される!

皆さんは湿布薬を医師から処方してもらうことはありますか?
最近の診療報酬改定で平成28年度4月より1回70枚を超えて湿布薬を処方する場合には、原則として処方せん料、薬剤料等が算定できなくなりました。
つまり薬局はお薬を出そうとしても患者さんからお金が頂けないということになり、事実上の規制です。
ただ「医学上の必要があると医師が判断した場合」その理由を併記すれば、70枚以上でも処方せん料等は算定可能、つまりお薬代を薬局は頂くことが出来ます。
どうして、患者さんや薬局にとってそんな面倒くさい改定があったのでしょうか。
その背景について考えていきたいと思います。
湿布薬の診療報酬改定の背景は?
湿布薬の大量処方に待ったがかかったのはどうしてでしょうか。
まず現状として次のような問題があります。
1回で湿布薬が70枚以上超えて処方される患者数は月ベースで述べ30万人。
この処方がなくなれば年間数十億円の医療費削減につながるだろうといわれています。
でも本当に必要とされている方に湿布薬が渡らなくなる危険はありますよね?
実は大量処方の裏に湿布薬という薬の性質があります。
湿布薬は市販薬に比べて、医師が処方すると10~30%程度で入手することが出来ます。
それに湿布薬は何枚ストックがあっても困らないですよね。
どうも大量の処方してもらった湿布薬を家族や友人等で融通しあっているケースもなかにはあるようなんです。
他の専門治療薬と違って湿布薬はちょっとした肩こりや腰痛にも使えますから、汎用性が極めて高いんですよね。
そういった湿布薬ならではの理由により2016年の診療報酬改定の対象となったようです。
では本当に70枚以上の湿布薬を必要としている患者さんは今後どのようにしたら良いでしょうか。
次の章でその対応についてご紹介いたします。
湿布薬70枚制限の対応はどうする?
このように患者さんからした不便になる2016の診療報酬改定ですが、対応方法も全くないわけではありません。
私たち医療サービス利用者からみてどのように対応していくか方法をご紹介いたします。
処方せんに「医学上の必要があると判断した理由」を医師に書いてもらう。
処方せんに「医学上の必要があると医師が判断した理由」が併記されていれば、70枚以上の湿布薬処方でも薬局で処方料等の算定は可能となります。つまり処方してもらえます。
誰かが使うかもしれないから沢山欲しい、というあいまいな理由では今後処方してもらえなくなりますが、きちんと合理的な理由を医師が記載すればこれまで通り処方されます。
1回の処方で70枚までだから、分けて処方せんをもらう。
病院まで遠い人には対策にならないかもしれませんが、今回の改定は1回の処方あたりの話なので、数回に分けて湿布薬を処方される分には問題ありません。
1回70枚までの湿布薬の処方せんを月に数回もらう分には規制の対象にはなりませんので、医師の特記事項も不要です。
処方せんだけ診察窓口でもらえればOKなんですが、毎回診察に並ぶと思うとやはりちょと面倒かもしれません。
そのあたりは、事前にかかりつけの医師に相談しておくと良いかもしれません。
湿布薬処方の本当の問題とは?
今回の2016診療報酬改定が行われた本当の問題は実は医師側にあるのだと私は考えています。
患者さんに頼まれたからといって安易に大量の湿布薬を処方してしまっていた医師も居たのではないでしょうか。
そうでなければこのように湿布薬だけ数規制がかからないですよね。
お医者さんもサービス業ですから、患者さんになるべくまた来て欲しいと思うはずです。
そんな中、モラルの低い一部の医者が、必要以上の湿布薬の処方を出していたから、今回のような改定があったのではないかと推測します。
ただ、僻地に住んでいてなかなか医者にかかれない人が不利益を被らないように、しっかりと除外規定もあるので、おそらく今回の改定で困る人はほとんどいないかと思います。
保険診療による投薬が安易に行われないことは、私たちの社会全体の医療保障負担を減らすために重要なことなので今回の改定は重要であったと思います。
また今後も生活の役に立つ情報をお届けしてまいりたいと思いますので、よろしくお願い致します。