ペットを飼うことが赤ちゃんに与える影響。その効果とリスクは?

すでに犬や猫などがご家庭にいて、もうすぐ赤ちゃんが生まれてくるといった方もおられることでしょう。
ペットがいることで赤ちゃんにどんな影響があるのか心配。
赤ちゃんが病気になるかも。
危害が加えられたらどうしよう。
こう考えるのは自然なことではないでしょうか。
今回はペットが赤ちゃんに与える影響について詳しくお話ししていきましょう。
犬・猫のアレルギーやペットからうつる病気など健康上の影響が心配
母親が動物アレルギーの体質である場合、赤ちゃんに遺伝する確率は8割にも上ることが指摘されています。
しかしすでにペットがいるご家庭でアレルギーが出ている家族がいなければ大きな心配は要らないかもしれません。
むしろ子供が1歳になるまでに動物と触れ合うことでアレルギーになりにくい体質になるとの報告もあり、よい効果が期待できるかもしれません。
動物のフンとアレルギーの関係
生まれたばかりの赤ちゃんはまだ免疫機能が完成されていません。
乳幼児の時期に動物のフンから放出される「エンドトキシン」という物質に適度に触れていると細菌に対する「細胞性免疫」が増加し、アレルギー体質になりにくいとされています。
この点はペットと一緒に暮らす効果と言えるかもしれません。
エンドトキシンそのものは大量に血液に入ると高熱やショック状態を引き起こす有害なものです。
しかし現在は衛生環境が整いすぎており、適度なエンドドキシンに触れる機会が少なくなり、むしろアレルギー体質の子が増えているという皮肉な結果となっているようですね。
この場合、適度であることが重要で、ペットのフンの始末があまりにも不十分であると別の感染などのリスク要因になりかねません。
赤ちゃんがペットのフンに近づかないような配慮はやはり必要です。
動物の寄生虫は赤ちゃんにもうつる?
もう一つの心配には、動物から人間にうつる「人獣共通感染症」の問題がありますね。
特に寄生虫はとても身近なもので特に配慮が必要でしょう。
- 原因:犬や猫のフンに排出された回虫の卵が人の口から入ることで感染する。
- 経過:回虫は人体では成虫になららず、幼虫のまま内臓や目に寄生する(トキソカラ症)。
- 症状:内臓移行型(発熱、食欲不振、咳、喘鳴、腹痛、嘔吐など)
- 症状:眼移行型(網膜脈絡炎、ブドウ膜炎、網膜剥離など)
- 予防:ペットの定期的な駆虫やペットに触れた後の手洗いが必要。
※回虫症はペットからの感染に限らず、泥や砂との接触、レバー(生食)からの感染も考えられます。
【鉤虫】
- 原因:幼虫が人の口から入ったり、裸足の足から侵入することで感染する。
- 経過:血流にのって肺や胃腸に移動する。
- 症状:皮膚の発疹(かゆみ)発熱、食欲不振、咳、喘鳴、腹痛、下痢、鉄欠乏性貧血など。
- 予防:ペットの定期的な駆虫や感染地域で裸足で歩かないこと。
その他、鞭虫や瓜実条虫などが人にも感染する寄生虫として知られています。
妊娠中に定期的なペットの駆虫を始めることが必要になります。
また出産後は、母親や赤ちゃんはペットのトイレには触らない方が無難ですね。
ペットが赤ちゃんに危害を加えないか心配
基本的に赤ちゃんが何もしなければペットの方から攻撃をしかけることは少ないと言えます。
むしろペットの方が赤ちゃんという新しい家族に混乱することが多いようですね。
また犬と猫では関係性の作り方が異なると言われますので、それぞれの場合について見てみましょう。
猫は赤ちゃんの存在がストレスになる
猫は環境の変化に敏感で赤ちゃんの存在はストレスの元になることが多いと言われます。
まずは赤ちゃんのためとはいえ、猫の専用スペースは侵さないようにすることが重要ですね。
猫が好きな場所を取り上げたり、寝床や食事スペースを変更したりしないようにしましょう。
また猫が赤ちゃんに近づいただけで叱ったりするのは禁物です。
ますます赤ちゃんを異質なものと認識し、関係を築けなくなってしまいますよ。
赤ちゃんや子供が苦手で、なかなか慣れない猫の場合、少しずつ対面時間を増やしていくことが必要です。
赤ちゃんが飼い主にとって大事な存在であることを徐々に教えていくことで関係性を理解していくでしょう。
犬は家族(群れ)の中の序列を重んじる動物
犬は赤ちゃんが新しい存在としてどの序列に入れたらよいのかまだ分かっていません。
少なくとも赤ちゃんが犬自身よりも上の存在であることを教える必要があります。
また特に甘えん坊の犬の場合、赤ちゃんに嫉妬したり、飼い主の気を引くために「子ども返り」することがあります。
急にわがままになったりトイレの粗相が増えたりすることがその表れのようですね。
犬の方も常に視野に入れておいてあげましょう。
ペットを飼うことは子供の情操教育にとって効果的
赤ちゃんが大きくなって、ペットを生き物として認識できるようになってからの話ですが、様々な教育的効果が挙げられています。
- 生命の大切さを知る:生き物に直接触ることで生命の存在を実感することができる。
- 思いやりの心を育てる:兄弟や姉妹がいなくても他者への思いやりの心を芽生えさせることができる。
- 責任感を育てる:ペットを飼育する上で、子供に役割を与えることで責任感が強くなる。
- 非言語的コミュニケーション:犬の表情やしぐさで気持ちを察することが出来るようになる。
ペットのしつけや衛生管理ができていないと同居のリスクは高い?
ペットと一緒に暮らす場合の注意点として「しつけ」と「衛生面の管理」があります。
基本的な部分がクリアされていない場合、やはり同居のリスクがないとは言い切れません。
重要な点を10のチェックポイントにまとめてみました。
1つでも当てはまれば改善の必要がありますよ。
- ペットのトイレトレーニングが出来ているか
- ペットが飼い主の言うことを聞き分けるか(信頼関係)
- ペットがもともと攻撃的な性格ではないか
- ペットの健康管理が出来ているか(予防接種、寄生虫やノミ・ダニなどの駆除)
- ペットと過剰なスキンシップをしてないか
- ペットの被毛のケアが出来ているか(シャンプー・ブラッシング)
- 犬の散歩や猫の外出後の衛生面の管理が出来ているか
- ペットの食器やトイレの衛生面の管理が出来ているか
- 部屋が衛生的に保たれているか(抜け毛・フケなどの掃除)
- 部屋の空気にも配慮しているか(空気清浄機などの設置)
赤ちゃんが大きくなってハイハイしたり歩くようになると行動範囲が広がり、リスクが大きくなる場合もあります。
赤ちゃんを迎えるまでに十分な準備を整えておきましょう。
ペットと同居することは子供の成長にとって多くのメリットがある反面、リスクも否定できないようです。
しかし基本的なことが守られていることでペットとの同居は十分に可能です。
赤ちゃんが生まれた時からずっと一緒にいてくれるペット。
そのペットとの「かけがえのない思い出」こそ、赤ちゃんにとって最も素晴らしい財産になるのではないでしょうか?
いかがでしたか?
これからも素敵なペットライフが続きますように。