右の肩甲骨が痛いのは病気のサイン!息がしにくいときは急いで病院へ。

なぜか右の肩甲骨が痛い。
右の首から肩にかけて痛い。
右手がしびれる。
単なる筋肉痛ではないみたい。
でもどうして右だけ?
もしかすると肝臓や胆のうといった内臓からの関連痛かもしれません。
「息がしにくい」という症状もあれば要注意。
思わぬ病気が進行している可能性も考えられます。
こんなときは急いで病院を受診しましょう。
右の肩甲骨が痛いのは病気のサインかも
右の肩甲骨が痛い。
なぜ片方だけ?
筋肉痛や打撲などの心当たりがない場合は、内臓からの関連痛かもしれませんよ。
関連痛とは、悪くなっている臓器と少し離れた場所に感じる痛みのことです。
たとえば心臓なら左の肩から背中にかけての痛みやこり感などがよくみられますね。
では右の肩甲骨の痛みの原因はなんでしょうか?
体の右側にある大きな臓器と言えば「肝臓」です。
最大の臓器と言われ、重さは約1,200~1,400g程度です。
機械で代償しようとすると、巨大な化学工場に匹敵するほどの機能を持っているんですね。
- 物質代謝の機能:食べ物から吸収した栄養素を体内で使える形に変える
- グリコーゲン(エネルギー源)の貯蔵機能(血糖値のコントロールも)
- 解毒の機能:アルコールやアンモニア、薬剤などの有害物質を分解して無毒化する
- 胆汁の生成と分泌の機能:胆汁は肝臓の老廃物であり、脂肪の消化を助ける消化液でもある
- 血液の貯蔵:全体の1/10ほどが蓄えられている
- 血液凝固因子の生成:プロトロンビンやフィブリノゲンなど
この肝臓に起こった何らかの異変が、肩甲骨の下のあたりに関連痛を感じさせることがあるんです。
また肝臓の下についている小さな袋状の臓器が「胆のう」です。
胆のうは、肝臓から分泌された胆汁を濃縮して貯蔵し、消化液の1つとして小腸に排出する働きを持っています。
この胆のうの痛みは、右肩から肩甲骨の上あたりの関連痛として表れることが多いようです。
いずれも臓器を支配している神経と関連しているからなんですね。
少し詳しく説明してみましょう。
内臓の痛みは、内臓の壁にある神経が感じています。
この痛みと同じ神経を通る別の体性感覚(体の表面の感覚)が混線することで関連痛は起こるんです。
肩甲骨の下あたりは胸髄神経(Th7~10)、肩から肩甲骨の上あたりは頚髄神経(C3~5)が支配します。
首の神経と関係しているので、右手のしびれとも関係するしれませんね。
では、肝臓と胆のうの疾患をまとめてみましょう。
- 脂肪肝:糖質や脂質、アルコールの摂りすぎで肝臓に中性脂肪やコレステロールがたまった状態
- 肝炎:ウィルスやアルコール、薬剤などが原因で肝臓の細胞が破壊され、炎症を起こした状態
- 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH):アルコールが関係せず、無理なダイエットとリバウンドが原因と言われる
- 肝硬変:肝炎が慢性化して肝細胞が機能を失い、肝臓が小さく硬くなった状態
- 肝臓がん:肝臓にできたがんで、肝硬変から進行する場合と、他の臓器から転移する場合に分けられる
- 胆石:コレステロールや胆汁色素(ビリルビン)が結晶化したもので、胆のうの出口をふさぐ
- 胆のう性腹膜炎:胆石によって胆のうの出口がふさがれて胆のうが破けることで腹膜炎を起こす
- 胆のう炎:胆石による炎症や細菌感染によって起こる
- 胆のうポリープ:胆のうの壁にできる小さなしこりで良性であるががん化することもある
- 胆のうがん:胆のうにできたがんで、胆汁の流れをせき止めてしまう
息がしにくいと感じるときは急いで病院へ
右の肩甲骨の痛みだけではなく、息がしにくいという症状がある場合を考えてみましょう。
これは肝臓のある場所が関係しています。
肝臓のすぐ上は横隔膜です。
名前は聞いたことがあっても、ピンと来ないかもしれませんね。
横隔膜は肺のすぐ下にある膜状の筋肉です。
横隔膜が下がり、肺を下に引っ張ることで陰圧(空気が薄い状態)にします。
肺を陰圧にすることで外の空気を取り入れ、肺をふくらませることができるんです。
自然に息を吸うときは横隔膜が収縮し、吐くときは横隔膜が弛緩しますよ。
これが呼吸の仕組みです。
激しい運動をしたわけでもないのに息がしにくい。
この場合、横隔膜のすぐ下にある肝臓が邪魔をして、横隔膜が下がりにくくなっているのかもしれません。
つまり疾患によって肝臓が腫れたり硬くなったりしていることが疑われるわけですね。
もともと肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、なかなか症状が出ないと言われています。
再生力がとても強く、機能的な余力も十分もっているからなんです。
ここまでくると病気が進行している可能性が考えられます。
だから急いで病院を受診することをおすすめします。
いかがでしたか?
内臓の痛みは体の表面的な痛みとして感じる場合があるんですね。
関連痛について知ることで、病気の発見につながるかもしれません。
体からの大切なサインを見逃さないようにしましょう。